クラフト紙を使った缶バッジは時々お問い合わせいただいていたアイテムです。新し物好きなお客様がいらして「他店でこのような紙を使ったものがあるけど、缶バッジ製作屋さんでは作ることができませんか?」ということでした。紙の種類に関してはもともと多くの知識がありますのでクラフト紙を取り寄せようと思えばすぐに取り寄せ可能でしたが、色々テストを重ねてからでないと本生産はできませんので試作を作っていました。
そして、試作を重ねて良い缶バッチができましたので公開させていただきました。
クラフト紙の缶バッチとは?
クラフト紙はクラフトパルプというとても丈夫な紙を原料として使っています。身近なものとしては、段ボール箱や包装紙、梱包用のテープです。また封筒などにも使われています。段ボールなどは独特な茶色の色をしていますねクラフト紙がつかわれています。今では青や白などの封筒がありますが、昔の封筒はどうして茶色なのかというと丈夫さが求められてクラフト紙が利用されていたからです。
そんなクラフト紙ですが、印刷した時に独特な雰囲気が出るということで商業印刷の分野ではかなり使われれるようになりました。もともと紙に色が付いているため単純なデザインでも映えるということや、レトロな雰囲気がでるということで印刷用紙のひとつとして認知されています。丈夫な紙ですので缶バッジを作る時の素材としても向いています。
オリンパスと通常の両更クラフト紙の比較です
クラフト紙にはいくつか種類があり、茶色の濃い色から白色まであります。もともとのクラフトパルプの色は濃い茶色ですが薬品で漂白することで色を薄くしたり白色にしたりします。(色を薄くするほど紙の強度も落ちていきます。) この漂白の度合によって未晒しクラフト、半晒しクラフトといいます。未晒しで濃い色のクラフト紙は「両更クラフト紙」で、半晒しにして色の薄いものは「オリンパス」と呼ばれています。缶バッジのような細かいデザインで色のコントラストの幅が大きい場合は両更クラフト紙よりもオリンパスが向いています。そこで、弊社ではオリンパスという紙を使っています。
ちなみにクラフト紙を、「Craft Paper」と書いている方がいらっしゃいますが、「Kraft Paper」が正しい綴りです。「Craft」は工芸や手芸といった意味、手作りするといった意味で使います。クラフト紙の素材そのものを「Kraft」と書きます。
クラフト紙が缶バッチをレトロな雰囲気に演出します
缶バッジクラフトはレトロでビンテージな雰囲気が出ると人気なアイテムです。牛乳瓶のフタやマンホールの蓋のデザインで缶バッジを作成される方が結構いらっしゃいますが、このデザインでクラフト紙を使うとレトロ感が増します。ということで、牛乳瓶のフタのデザインで作ってみました。今では牛乳瓶のフタを開けて牛乳を飲むという人も少ないと思いますが、昭和の時代では、きりのような針を使って牛乳瓶のフタを開けていたんですね(笑)。
こちらは良くある周年記念の缶バッジですが、クラフト紙で作ると何か懐かしいイメージになります。クラフト紙はやわらかい、温かみのある印象があります。古い車とか路面電車でもいい感じの缶バッチができるかと思います。
クラフト紙には透明なフィルムを被せていないのでクラフト紙そのままの質感を味わえます。透明のフィルムを被せてみたのですが折角のクラフトの質感が無くなってしまったので、フィルムは使わないことにしました。
クラフト紙に向くデザインとは?
クラフト紙を使ってレトロなイメージの缶バッジを作るには、色はくすんだ色をわざと使った方がいいかと思います。例えば赤ならM100、Y100の一般的な赤ではなくて、M100、Y100にKを10~30%位混ぜた赤ですね。全体的にトーンを下げてみると色が褪色したような効果も出るかと思います。
また青ならC100、M50よりもCを少し薄くして紫色に近づけてみたり、Yを少し足してくすんだ青にしてみるとレトロなイメージが出るかと思います。緑色なんかも黄色に寄せてみたり、青に寄せて見たりするといいですね。
イラストや絵などをレトロな雰囲気にすることも大切ですが、書体(フォント)もこだわってみてはいかがでしょうか?上の牛乳瓶のキャップのデザインでは、「昭和モダン体」「マティスえれがんと」等の書体を使っています。レトロな書体を使うことでレトロ感がぐっと引き立ちます。
缶バッジも白い紙ではなく、クラフト紙に変えてみるだけで違ったイメージになります。またデザイン上も工夫することでさらに面白い缶バッチができるかと思いますので参考にしてみてはいかがでしょうか?
缶バッジのクラフト紙はこちらからどうぞ