お客様より「缶バッジが凹んでしまいましたが、修理はできますか?」とか「缶バッジに傷がついてしまいましたが直せませんか?」といったご質問をいただきます。お客様の大切な缶バッジですのでお気持ちは良くわかりますが、結論から言いますと修理することは難しいです。なぜかといいますと、缶バッジの構造上と法律の問題も絡んでくるからです。
缶バッジの構造上、修理は難しい?
缶バッジの凹みを直すには缶バッジを分解して裏側から叩いたり、押したりして直すことになります。しかし、缶バッチはスチール製の、表の蓋と裏の蓋を、かしめることで繋ぎ合わせて作っています。「かしめる」というのは、鉄に圧力を加えることで変形する性質を利用して密着させたり繋ぎ合わせたりする方法です。ネジで止めたり、接着したりせず簡単に違う素材同士を接合させることができます。逆に考えますと、同じ力で缶バッチを分解して再度同じ力で再度かしめなければなりませんので、一般の方にはそれを行うことは不可能といっても良いでしょう。円形の缶バッジは360度同じ方向からお同じ力を加えてかしめますので、専用の機械がなければ不可能ですね。
缶バッジのキズはどうやって直す?
缶バッジの傷というと表面のプラスチックフィルムに付く細かいすり傷などです。缶バッチが他のものと擦れてできてしまったキズは修復不可能です。缶バッジを分解してフィルムを交換する他ありませんが、先程申し上げたように分解することが難しく原稿も再利用できません。
透明のプラスチックフィルムは傷がつきやすいので、予め、缶バッチカバーなどを購入して缶バッチを保護しておいた方がいいですね。屋外で利用していて急に雨が降っても安心です。
ドライヤーの熱で缶バッチの凹み直す?それはウソです。騙されないで!
缶バッジの凹みの治し方をネットで検索される方が多いようですが、「ドライヤーで急激に温めて、氷や冷却剤等で急激に冷やすのを繰り返すことで凹みが直る」というような記事が多いですね。Yahooの知恵袋などでも同じように書かれていますが、これは嘘ですので騙されないようにしてください。これは自動車の凹みの修理の仕方の一つとして認識されたものをそのまま缶バッジに応用しようとしているだけで検証もされず無責任に書かれた記事です。
確かに温めて冷やすことで凹みが改善する場合がありますが、凹みの面積が広い場合に有効です。例えば、キッチンのシンクに熱湯をかけると「ベコン!」と音がなりますがその要領で自動車の凹みを直します。キッチンのシンクのように面積が大きければ効果は期待できるかもしれません。
しかし、缶バッジのような小さいものではドライヤーで温めたぐらいでは変形しません。ましてやドライヤーの熱で印刷面のインクが熱せられて色が変色したり溶け出したりする可能性があります。ドライヤーで直す方法は車に対してですので缶バッジでは何の役にも立たないと言えるでしょう。
また、面白いものでは缶バッチに熱湯をかけたり、氷水の中に缶バッジを入れたりして凹みを直すというものもありました。これはさすがに笑ってしまいましたが、凹みが直る前に印刷面が汚くなってしまいますし、缶バッジが錆びてしまいますね。あきれてしまうようなアイデアがネットメディアには広がっているようですが私たち缶バッジの専門家が正しい情報を発信しなければといつも思っています。
唯一、修理できる方法があるとすれば・・・
ここで「缶バッジは修理することができません」と全否定してしまうのもこの記事を読んでいただいた方に申し訳ないので、一つ直す方法をご提案させていただきます。これは直すというより作り替えとなります。
缶バッジを丁寧に分解して原稿を綺麗に伸ばします。その他のパーツは使えませんので捨ててしまいます。そして、原稿を綺麗にスキャナーでスキャンします。そのデータをもとに新しい缶バッジを作ってもらう方法です。(ただし、キャラクター等の著作権やロゴマーク等の商標権等があるものは製作できませんのでお客様の完全オリジナルデザインのみになります。)
修理したいとご相談に来るお客様の多くはキャラクターやアイドル等の缶バッジで、弊社がこれを代行することは法律に触れてしまいますので、やはり修理は難しいと言わざるを得ません。まずは、その缶バッジを購入した会社へご相談してみてはいかがでしょうか。修理が無理ならリメイクして缶バッチを活用しましょう。
缶バッジは修理するよりリメイクで!
缶バッジの修理が色々な点で難しいことがわかりましたでしょうか?ならばいっそのこと、缶バッチをリメイクしてみてはいかがでしょうか?缶バッジを分解して原稿のみを取り出してキーホルダーやプラバッジなどにリメイクはすることは可能です。100均や東急ハンズでキーホルダーの作成キットを購入して、デザインが印刷されている紙をキーホルダーの大きさに合わせてカットすれば完成です。